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レーザーと溶接の基礎知識

yagレーザー溶接

たくさんのお客様よりご指示戴いてるYAGレーザー溶接ロボットも、導入から5年が経ちました。
この「レーザー技術ノート 1」ではレーザーの基本を、「レーザー技術ノート 2」では今まで蓄積したノウハウや溶接の実際をご紹介します。
製品製造への利用をお考えの営業担当様・開発担当様のほか、導入をご検討されている企業様の参考のひとつになれば幸いに思います。
他にもご質問があれば、分かる範囲でお答えして参ります。お問い合わせページからお気軽にご質問ください。



 レーザー 〜 LASER 〜 

よく耳にする「レーザー」とはいったいなんでしょうか?

アリ 「なんでしょう」
  • 光  (Light)
  • 増幅(Amplifrction)
  • 誘導(Stimulated)
  • 放出(Emission)
  • 放射(Radiation)

の頭文字をとってLASERと呼びます。


ご専門の方に怒られそうですが、私は面倒なので「特殊な光を増幅して利用する技術の総称」と憶えています。
子供のころ、ヒーローの「○○ビーーーム!」を筆頭としてレーザーという言葉、一度くらい耳にしたことありませんか?
私のイメージは、近未来の科学兵器とかヒーローが発する共通の光線。
なのでスペシュウム光線、ウルトラ、ライダー、キック、パンチ、スープレックスと並び、最も馴染みのある 英語?のひとつでした。
少し横道に逸れましたね。

レーザーは1960年、エネルギーを増幅し利用する技術として、それまで研究が進んでいたマイクロ波の変わに、ルビーに照射した光の増幅に成功したことが始まりだそうです。
ちなみに先のマイクロ波の増幅・利用技術をメーザー(MASER)というそうです。Micro-Waveの「M」ですね、なるほど。
今ではブルーレイやDVDなど、ごく身近なものから、宇宙間の超遠距離通信、物性研究、医療技術、もちろん製造現場など、多くの分野で幅広く利用されている、とてもありがたい技術なんですね。


レーザーの種類

“媒体”に光を照射して特殊な光を発生、増幅し利用する技術であることは先に説明しました。
レーザーの区分は、光を照射する“媒体”によって主に下の3つに区分されます。

  • 個体レーザー   YAG
  • 気体レーザー   CO2
  • 半導体レーザー  SI、GA、砒素など

レーザー技術はいろいろな工夫によって、その光の特性を様々に変え、日用品にまで組み込まれています。
今では特別な技術ではないといってもよいでしょう。
特に半導体レーザーの研究は加速度的に進み、画像処理・大容量記憶媒体などの技術躍進にも大きく貢献しています。


 YAGとは 

わが社のレーザー溶接ロボットは、“YAG”を媒体とするレーザー光を利用しています。 では、“YAG”とはいったい何でしょう。

YAGとは、レーザー光を発生させる複数の媒体元素、あるいは特徴付けされた代表元素または化合物を差します。

  • イットリューム  (Yttrium)
  • アルミニウム   (Aluminium)
  • ガーネット    (Garnet)

の頭文字をとって【YAG(ヤグ)】といいます。
ネオジウム(Nd-Neodymium)やエルビウム(Er)などY-A-Gとは別の《特徴付ける含有物》を頭にして“Nd:YAG”“Er:YAG”などと呼ぶ場合もあります。このページでは “Nd:YAG”をメインに話しを進めますので“YAG”といったら “Nd:YAG”とご理解ください。
YAGレーザーは、CO2レーザーとともに工業用技術に留まらず、広い分野で利用されています。
その伝送自由度を生かし、人間による曲線的で繊細な作業や多関節ロボットのように複雑な動きにも、安定したエネルギー供給が可能です。
従って、わが社所有の溶接ロボットのように工業用ロボットへも多く利用されています。


 エネルギーの発生としくみ 

次にYAGレーザー光の発生としくみをみましょう。

  • ネオジウム(Nd-Neodymium)を封入した、イットリューム(Y)、アルミニウム(A)、ガーネット(G)で構成するYAGロッドを発振器とし、それに強い光を当ててレーザー光を励起、発振させます。
YAGレーザー光の発生原理(図1)
  • YAGロッド両端面の外側には高精度で光学研磨された“共振器”というミラーが配置されていて、YAGロッドから発振されたレーザー光線はこの共振器で増幅、強力な光の束となったエネルギーを出射口に伝送します。
YAGレーザー光線の伝送とエネルギー転換
  • 出射口のレンズでさらに集束させ、高い光エネルギーとしてぶつけることで受光部が加熱し、焼いたり切ったり溶したりを可能にしたわけです。

お日さまの光を虫メガネで絞って紙を燃やす、あの原理ですね。


 エネルギーの伝送方法 

作り出された光エネルギーはどのように装置外に運ばれるのでしょう。

YAGレーザー光の場合、伝送には通信分野で大活躍の“光ファイバー”を用います。
エネルギー損失が無く、軽量で自由度も高いことから、複雑な動きが可能で、多軸ロボットアームや人間の動きにも柔軟に対応することが出来ます。
一方、CO2レーザーの場合は、光の波長が長いため、方向転換法にはミラーでの反射が用いられます。反射なので軽やかで複雑な動きには不向きです。


 YAGレーザー溶接の特徴 

ではレーザー溶接、特に金属の溶接にポイントを置いて見てみましょう。

メリット

  • 歪みが少ない・・・熱が集中し、母材への入熱が少ない
  • 仕上がりがよい・・・パルス制御で均一なビード
  • 継手自由度が高い・・・光の焦点を変えることでいろいろな継手が可能
  • 材料を選ばない(高反射率素材は不可)

デメリット

  • 高価(価格、ランニングコスト)
  • 装置の大型化
  • 人体への危険度が高い

などの特徴があります。

では、他の溶接と比較してどうなのでしょう。

項  目レーザーアルゴン抵抗溶接特  記  事  項
溶接速度×
低熱入力×YAG:熱が集中  抵抗溶接:部分的加熱
熱による歪み×抵抗YAG > TIG > 抵抗
溶接ビード外観×YAG:パルス制御で均一
溶接冶具が簡易度×YAG:簡単な固定で十分
装置の信頼度
磁性材料の溶接YAG:エネルギーが光なので無影響
高反射率材料の溶接YAG:他の溶接に比べ影響大
継手形状の選択自由度一般には YAG > TIG > 抵抗
作業環境、騒音、臭気
コスト(Initial/Running)×一般には YAG > TIG > 抵抗

各溶接それぞれ一長一短あるようです。加工工程とともに、溶接の特性を見極めてうまく使い分けることが肝心です。

加工と鋼種の関係

加工と材料の相性は重要で、その良し悪しが製品性能を大きく左右、または製品製造に係る工程や製品形状そのものを根本から再考せざるをえない場合もでてきます。
ここでは一般的な加工と材質の相性を下表にまとめてみました。

分類JIS記号規格名称レーザー切断Ar溶接レーザー溶接成形性切削性
SSxxx一般構造用圧延鋼
SPHC熱間圧延鋼板/鋼帯
SPCC冷間圧延鋼板/鋼帯
SxxC機械構造用炭素鋼材×
SKx炭素工具鋼材×
ステンレスSUS303オーステナイト系××××
SUS304オーステナイト系
SUS304Lオーステナイト系
SUS310Sオーステナイト系
SUS316オーステナイト系
SUS316Lオーステナイト系
SUS410マルテンサイト系
SUS430フェライト系
アルミA1050A1100×××
A201717S××××
A202424S××××
A505252S△※
A606363S××
A707575S××××
A7N01YH75×××
TiTP340H純チタン2種

上記表は一般的な相性を示しています。加工と材料選定にお役立てください。


なお、ステンレス材料の特性については、ステンレス鋼種(JIS)にまとめてあります。

本表と併せてご参考ください。


次項、「YAGレーザー溶接現場から」では、実際の溶接をわが社製造現場を中心にお話しを進めます。 編集中に付き、今しばらくお待ちください。(2010年6月 現在)


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