知識の蔵
2005年10月20日
ステンレス鋼の板金加工特性(軟鋼板と比較して)
ステンレス鋼の板金加工特性(軟鋼板と比較して)
1.せん断加工の注意点
(1)せん断抵抗、引張り強さとも軟鋼板の約2倍。 → 約2倍の力を要します。
(軟鋼板:約30Kg/mm2 ←→ ステンレス鋼:約55Kg/mm2)
(2)加工硬化性が大きい。(加工すると硬くなる性質。)
(3)打ち抜き時に熱を発生させる。 → 高速加工では冷却を必要とします。
2.曲げ加工の注意点
(1)スプリングバック量は大きい。 → 金型対策が必要。
(2)最小曲げ半径は大きくなる。
(軟鋼板:t0.5mm以下 ←→ ステンレス鋼:t0.5mm~t1.0mm以上)
ステンレス鋼で、極端に小さな曲げ半径を用いると、肌荒れ・応力腐食割れが発生します。
その際は(角を鋭く曲げたい時は)、Vノッチを付けて曲げる方法があります。
(3)大きな曲げ荷重が必要。
3.成型加工の注意点
(1)フェライト系ステンレス鋼種(SUS430)の場合、厳しい深絞り加工を行なうとリジングといわれる独特のひずみ模様が板表面に発生します。この修正にはかなりの工数を費やします。
また縮みフランジ変形による、絞り方向に直線的に発生する縦割れがあります。この割れは後で衝撃を加えても同じように割れることはほとんどありません。
ごく浅い絞りや張り出し加工においては、ストレッチャーストレインといわれる凸凹模様が表面に表れる場合があります。
(2)オーステナイト系ステンレス鋼種(SUS304)の場合、熱伝導度が低く、熱膨張係数が大きいため、絞り製品の側壁が膨らむ傾向が見られます。→リストライク工程を追加することで対応可。
またマルテンサイト変態が大きい絞り加工品を、しばらくおいて置くといつの間にか割れていることがあります。(時期割れ、遅れ破壊、置き割れ)
この割れは加工直後に起きることもあれば、何ヶ月後に起こることもあります。
対処法としては温間加工が有効と考えられます。

