知識の蔵
2005年10月20日
ステンレスについて
1. ステンレス材の表し方(ステンレス記号)
(1)
SUS (Steel Use Stainlessの頭文字):ステンレス鋼材(板・帯・棒・線・管)
SCS (Steel Casting Stainlessの頭文字):ステンレス鋳鋼品
(例)SUS430,SUS304,SUS316L

(2)3桁の数字の最初の数字
200番台 : クロム・ニッケル・マンガン系
300番台 : クロム・ニッケル系
400番台 : クロム系
600番台 : 高温高強度合金系
(3)数字の前後にアルファベットがついているもの
L : 低炭素を表す(Low Carbon) (例)SUS304L
J : 日本独自の鋼種を表す (例)SUS316J1
XM : ASTM規格(アメリカ材料試験協会規格)での特許鋼種 (例)SUSXM27
N : 窒素が添加された物(強度を上げるため) (例)SUS304N
(4)鋼種記号の末尾は材料形状を示す
B : 棒(Bar)
HP : 熱間圧延鋼板(Hot Plate) 構造材に主として使用
CP : 冷間圧延鋼板(Cold Plate) 表面材として使用

(5)表面仕上げ記号
2B : 一般用の材料仕上げで、光沢を出すために軽く冷間圧延したもの(B:Bright 輝く)
BA : 冷間圧延後、光輝熱処理を行った後、更に光沢を上げるために軽い冷間圧延をしたもの
HL : 適度の粒度の研磨ベルトで、連続した研磨目をつけたもの(ヘアーライン)
#400 : 2B材を#400番バフにより研磨仕上げしたもの
No.4 : 2D又は2B材を研磨ベルトで研磨したもの(断続的な研磨目)
No.6 : サテン(梨地)仕上げ(No.4よりつや消し)
No.7 : 高度の反射率を持つ準鏡面仕上げ(研磨目あり)
No.8 : 最も反射率の高い鏡面仕上げ(研磨目なし)

<ちょっと一言>
ステンレスのことを「ステン」と省略して言われている方がおりますが、「Stainステン」=「汚れ」という意味ですので、 Stain・less(サビ ない…本当は「サビにくい」なんですけど…)と言われた方が宜しいのではないでしょうか。 細かいことではありますが…。
2. ステンレス鋼の特徴と分類(分類の一例)
クロム系 | マルテンサイト系 | 焼入れ | 耐食性 | 125 | 耐 食 性 U P | SUS410(13Cr,≦0.15C) | |||
フェライト系 | 非焼入れ硬化性 | 耐食性 | 7 | SUS430(17Cr,≦0.08C) | |||||
クロム・ニッケル系 | オーステナイト系 | 冷間加工硬化性 | 耐食性 | 9 | SUS304(18Cr,8Ni,0.06C) |
物理的特性
ステンレスの特徴
(1) 熱が伝わりにくく保温性が良い
(2) 高強度材である
(3) 加工性が良い(扱いやすい)
(4) 表面処理が可能(研磨・塗装・発色(素材自体に色を付ける))
(5) 耐食性が良い(サビにくい)
(6) 衛生上優れた材料(清掃面さえしっかり行っていれば汚れが付着しにくく雑菌などが繁殖しにくい)
(7) リサイクル性が良い
3. ステンレスの注意事項
(1)サビについて
ステンレスは他の材料と比較すると耐食性は良いですが、サビが発生しないのではなくサビが発生しにくい材料です。用途が異なったり、加工方法の違いによってはサビが発生します。
適正な鋼種・加工方法を選択することと、こまめに手入れを行なうことでサビ発生を防ぎ製品を長持ちさせることができます。
(汚れが付着すると、ステンレス表面は相対湿度100%以下でも結露が起こりやすくなり、この水分で腐食(サビ)が起こります。)
鉄材を研磨した砥石でステンレス材の研磨は行わないこと。鉄材とステンレス材が一緒に流れる場合は十分な注意が必要です。
(2)加工上の問題
材料 | プレス加工性 | 溶接性 | 表面処理 | |
SUS430 | No.4材・HL材は目方向があるので材料の歩留まりを考える。 | リジング | 低温割れ | <塗装> |
SUS304 | No.4材・HL材は目方向があるので材料の歩留まりを考える。 | 時効割れ | 高温割れ | |
(3)耐指紋性
ステンレスは素手で触れると指紋あとが付きやすいです。もし付いた場合は、ステンレス専用洗浄剤又は有機溶剤(アルコール、ベンジン)等で拭き取り、乾かない内に新しいきれいな布で拭き取ると良いです。
ステンレスにクリア塗装を施すと指紋跡は目立たなくなる上、清掃しやすくなります。
使用するステンレス材がおかれる環境条件(水分の有無・水質・温度・構造等)を考えた上で、最適なステンレス材を選択することが大切です。また、その選択した材料に合わせて構造や加工方法(溶接方法)を適切に決めることが大切になります。そのようにして出来上がった製品は、細やかな手入れを継続して行うことにより、きれいな状態で長く使用することができます。
参考文献 : ステンレスの初歩(ステンレス協会発行)

