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知識の蔵 

2010年01月14日
ステンレスの表面処理 - バフ研磨

バフ研磨は、酸化アルミニウムなどの研磨剤を、脂肪酸等の油と一緒に練りこんで、棒状に成型した白棒等をバフにつけ、ステンレス表面に押し付け、モーターの回転で表面を研磨する研磨方法。

留意点
①ステンレス鋼は引っ張り強さが高く粘りがあるため研磨に力が必要。(アルミ・鉄に比較して)
②ステンレス鋼は熱伝導が悪いため局部加熱を生じやすいこのため継続して研磨していくと変色する。
③他の金属を磨いた後の砥石でステンレスを磨くと耐食性を損なうことがあります。(もらい錆びの原因)
④研削により表面硬化する場合があります。
⑤製品をきれいに仕上げるためには、その前の溶接・板金加工が大切これで仕上げの状況が決まる。
⑥HL仕上げは、HL目ををそろえてすっきり出すには、HL研磨機はかかせない。手修正では今ひとつ。
⑦きれいに研磨するには、荒仕上げ・中間仕上げ・仕上げ+αが必要。
⑧研磨する部品形状に合った機械・工具・治具使用のこと。
⑨そのものに合った回転数・押し付け圧調整のこと。(インバーター制御の研磨機がベター)
バフ研磨

2007年11月14日
ステンレスの腐食形態(錆び)とその対策

腐食は複合的な原因が多く、下記の内容で十分解決できない場合もございます。
下記に加工上の対策、設計上の対策を書きましたご参考にして下さい。

(1)加工上の対策
ステンレスは表面の不動態皮膜(1~3nm)の働きによって、多くの環境で優れた耐食性を示します。しかし、置かれた環境によっては、不動態皮膜の保護性は不十分な状態となり、種々の腐食を引き起こします。通常、SUS304・SUS430は室内ではほとんど錆びません。そのものが置かれた環境により錆が発生します。また、手入れの仕方により錆びの発生は全く変わってきます。
 
これらの腐食形態は次に示すように湿食と乾食に分類され、さらに湿食は全面腐食と局部腐食に分類されます。一般的に比較的多く見られる腐食形態は湿食(水による腐食」)で応力腐食割れと孔食がおおく発生します。
 
■湿食(水中)
◆全面腐食
酸化力の弱い酸の環境下で腐食が全面に進行するもの
 ⇒ 適正な材料選定・コーティング実施。

◆局部腐食
・応力腐食割れ
原因:残留応力・塩素イオン・溶存酸素
 ⇒ ショットピーニング・なまし実行。(応力除去)
(応力がかかっていて特定の腐食環境にあるとき)

・孔食
原因:塩素イオン・溶存酸素
 ⇒ 酸化スケールの除去・研磨。(汚れが付着しにくい)
(塩素イオンが存在したり表面に異物が付着したとき)

・すきま腐食
原因:すきま・塩素イオン・溶存酸素
 ⇒ すきまをつくらない。酸化スケール除去・研磨
(パッキンの合わせ目等すきまが存在するとき)

・粒界腐食など
原因:溶接熱影響部(クロム欠乏部)
 ⇒ ローカーボン材を使う。(クロム炭化物)
(オーステナイト鋼の粒界に炭化物が析出しているとき)

■乾食(空気中)
酸化など
 ⇒ 適正な材料選定・コーティング実施。


(2)湿食における設計上の対策
①適正な材料選定・表面処理が基本になります。
②容器等では、できるかぎり突合せ溶接を用い裏波溶接(裏ガスを出す)を行う。(すきまを作らない)
③容器等では、異種金属は接触状態(電流が流れる状態)にしない。
④表面は凸凹がないように研磨仕上げする。(鏡面仕上げの方がホコリゴミが付着しにくく腐食しにくい)
⑤必要に応じて電解研磨、不動態処理実施。
⑥液のたまりをなくす。
⑦メンテ掃除のしやすい形状とする。

2005年10月20日
ステンレス鋼の溶接特性

ステンレス鋼の溶接方法にはさまざまな方法がありますが、今回はアーク溶接の注意点について述べます。
 
 
1. 溶接部の組織
アーク溶接の溶接部では局部的な溶融と凝固が起こっています。その周辺部分(HAZ:HeatAffectedZone)は溶接の熱の影響を受けてミクロ組織が変化しています。
このため溶接部は強度、耐食性に問題が起こりやすいので注意が必要です。
 
 
2. オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)の溶接
(1) 溶接ひずみ
オーステナイト系ステンレスは熱伝導度が悪くひずみを起こしやすい性質があります。
ひずみを少なくするためには、治具による冷却、溶接母材の板厚を厚くする(1.5mm以上)、レーザー溶接で接合するなどが有効です。
 
(2) 応力腐食割れ
塩化物などを含む比較的高温の水溶液やアルカリ溶液中で使用すると、応力腐食割れを発生する場合があります。
対策としては、低炭素材を使う、溶け込み不足を無くして裏シールドを行なう、溶接後の熱処理を行なうなどが考えられます。
 
(3) ウェルドディケイ
熱影響部にCr炭化物が析出して、溶接部に平行にウェルドディケイと呼ばれる帯状の腐食領域が発生することがあります。
対策としては、低炭素材を使う、溶接後に再度溶体化処理を行なうなどが有効です。
 
 
 
3. フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の溶接
(1) 溶接部・熱影響部の結晶粒粗大化などによるぜい化
ぜい化により機械的性質(延性・靭性)が大幅に低下します。
対策としては、後熱処理を行なう、低炭素材を使う、レーザー溶接などが有効です。
 
 
4. 溶接時の注意点
(1)母材の溶接性を吟味する
(2)母材に適した溶接方法を選択する
(3)溶接面の洗浄性を確保する
(4)適切な溶接姿勢・開先形状を採用する
(5)適正な溶接電流・速度を保ち、入熱を確保する
(6)温度・湿度・風などの施工環境にも留意する
(7)溶接変形防止のため、適切に拘束する
(8)必要に応じて予熱・後熱処理を施す

特に
水と接する部分に使用する材料は、低炭素材(SUS304Lなど)を使用して溶接することが必要で、使用条件によりSUS304以上の耐食性を持つ材料(SUS316Lなど)を使用する。

ステンレス鋼の板金加工特性(軟鋼板と比較して)

ステンレス鋼の板金加工特性(軟鋼板と比較して)

1.せん断加工の注意点 
 
(1)せん断抵抗、引張り強さとも軟鋼板の約2倍。 → 約2倍の力を要します。
(軟鋼板:約30Kg/mm2 ←→ ステンレス鋼:約55Kg/mm2)

(2)加工硬化性が大きい。(加工すると硬くなる性質。)

(3)打ち抜き時に熱を発生させる。 → 高速加工では冷却を必要とします。
 
 
2.曲げ加工の注意点
 
(1)スプリングバック量は大きい。 → 金型対策が必要。

(2)最小曲げ半径は大きくなる。
(軟鋼板:t0.5mm以下 ←→ ステンレス鋼:t0.5mm~t1.0mm以上)
ステンレス鋼で、極端に小さな曲げ半径を用いると、肌荒れ・応力腐食割れが発生します。
その際は(角を鋭く曲げたい時は)、Vノッチを付けて曲げる方法があります。

(3)大きな曲げ荷重が必要。
 
 
3.成型加工の注意点
 
(1)フェライト系ステンレス鋼種(SUS430)の場合、厳しい深絞り加工を行なうとリジングといわれる独特のひずみ模様が板表面に発生します。この修正にはかなりの工数を費やします。
また縮みフランジ変形による、絞り方向に直線的に発生する縦割れがあります。この割れは後で衝撃を加えても同じように割れることはほとんどありません。
ごく浅い絞りや張り出し加工においては、ストレッチャーストレインといわれる凸凹模様が表面に表れる場合があります。
 
(2)オーステナイト系ステンレス鋼種(SUS304)の場合、熱伝導度が低く、熱膨張係数が大きいため、絞り製品の側壁が膨らむ傾向が見られます。→リストライク工程を追加することで対応可。
またマルテンサイト変態が大きい絞り加工品を、しばらくおいて置くといつの間にか割れていることがあります。(時期割れ、遅れ破壊、置き割れ
この割れは加工直後に起きることもあれば、何ヶ月後に起こることもあります。
対処法としては温間加工が有効と考えられます。

2005年10月20日
ステンレスについて